タイトル

「今日もまたクインケ浮腫で、唇が腫れています。」

このようなクインケ浮腫に関するブログを見ますが、クインケ浮腫とはどんな疾患なのでしょうか?分かっているつもりでも、実はそうでないことがあるかもしれません。

クインケ浮腫は、血管性浮腫(突発性の部分的な浮腫)の別名です。まぶたや唇、皮膚が突然腫れたらクインケ浮腫と診断されて原因不明だから仕方がないと説明されて済んでしまうことがあります。ところが、この血管性浮腫には様々な症状や特徴があることがわかっています。ここでは、より遺伝性血管性浮腫(HAE)を理解していただくために、他の血管性浮腫(クインケ浮腫)と比較しながらその症状を紐解いていきます。

血管性浮腫(クインケ浮腫)には下図に示すような種類の疾患があります。

図1.突発性(急性)浮腫の鑑別疾患

血管性浮腫の半数近くを占め、頻度が高いと言われているのが特発性血管性浮腫。じつはこの疾患には、詳細な病歴や血液検査などをいくらしでも、原因を特定できずにいる疾患が混在すると考えられています。
さて、疾患の原因からみてみますと、食べ物や薬剤へのアレルギー反応で起こるアレルギー性血管性浮腫や、温熱、寒冷、振動、外傷、感情的ストレス、日光などの物理的刺激による血管性浮腫、ACE阻害薬内服患者の0.1~0.5%に生じるとされるアンジオテンシン変換酵素阻害薬による血管性浮腫などが知られています。遺伝性血管性浮腫(HAE)は、このなかでもC1インヒビタータンパク遺伝子の欠損または機能異常(まれに凝固第XII因子の遺伝子異常)が原因とされている血管性浮腫です。このように遺伝子変異によらない血管性浮腫と、遺伝子変異によるHAEと大きく2つに分けて考えることができます。

図2.突発性浮腫の特徴

血管性浮腫(クインケ浮腫)の特徴を、図2に示します。心疾患、肝疾患や腎疾患にともなうような浮腫とは異なります。数時間のうちに浮腫が完成し、3日程度で消失します。症状は、かゆみを伴わず、限局的、非対称、指で押しても跡が残りません。
遺伝子変異によらない血管性浮腫と、遺伝子変異によるHAEの大きな違いとして、図2の特徴に加えて、繰返す浮腫や、同じ症状を家族に認めればHAEの可能性が高くなります。家族に認めない孤発例のHAEもあります。

図3.突発性浮腫の鑑別のための補体検査

HAEなのか、そうでない血管性浮腫なのかを見極めるため、病院での検査項目があります。蕁麻疹を伴う血管性浮腫では、血清総IgE値、アレルゲン特異的IgE値を測定してアレルゲンの特定を試みます。HAEでは通常の血液検査に加えて補体検査を行うことでHAEの診断が容易になります。図3のように補体C4やC1インヒビター活性を測定すれば、鑑別が可能です。検査を受ける際は、浮腫が出現している時のほうがより望ましいです。
確定診断のためには、遺伝子診断が必要になるのもHAEの特徴です。

図4.発作時の治療

治療に関しては、原因が分かっている血管性浮腫は治療可能です。アレルギー性や物理刺激による浮腫は、その原因を特定して回避することにより、予防することもできます。ACE阻害薬による浮腫も同様なことがいえると考えられます。一方でHAEは、血液中のC1インヒビターの欠損または機能異常に起因するため、急性発作時にはC1インヒビター製剤やトラネキサム酸が有効です。
C1インヒビター製剤は、血液から精製、濃縮し製剤化した医薬品で、静脈注射をすれば即効性にさまざまな活性に(発作の因子)対しブレーキとして作動するので、急性の浮腫発作を改善することができます。

遺伝性血管性浮腫(HAE)は、国の難病(特定疾患)に指定された「原発性免疫不全症候群」に含まれる「補体不全症」として医療費助成制度を利用することができる疾患です。申請手続きの詳細は都道府県によって異なるので、申請者の住所地を管轄する保健所または、担当医にお問い合わせください。
難病情報センターのホームページはこちら
小児慢性特定疾患治療研究事業についてはこちら。